本文へジャンプ

会長就任挨拶 2017.4


会長就任にあたり

 この度、新しく第3代のJSPS会長に就任しました第一三共株式会社 安全性研究所の千葉 克芳です。研究会員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。
 本研究会は、「医薬品の安全性評価を薬理学から支える」をビジョンに掲げ2009年に設立し、第1回学術年会以来、安全性薬理試験に関わる技術、評価法あるいは臨床への外挿などの情報を交換する場を提供してきました。学術年会への参加者は毎回300名を越え、本研究会の価値が認知されていることを感じております。澤田前会長の在任中、本研究会はヒトiPS由来心筋細胞/in silicoモデルを用いた催不整脈誘発リスク予測及び非げっ歯類を用いたテレメトリー試験の精度向上に関する活動などを含む情報・技術交流会を継続的に発展させてきました。また、CiPA/JiCSAに代表される創薬研究におけるパラダイムシフトの提案及び2016年の国際安全性薬理学会(SPS)の合同開催においても日本のイニシアティブを発揮してきました。私の使命は、多くの方の大いなるご貢献により築かれた研究会を堅持すると共に更に発展させることであり、幹事をはじめとする先生方と共に尽力する所存でございます。
 医薬品産業の研究開発を取り巻く環境は、業界内外・国内外ともに刻々と変化が続いており、新薬開発における生産性は低下する一途であります。そのため、最終的に個体(患者)レベルに還元するために、優れた医薬品を医療現場へ橋渡しすることができる安全性薬理研究が果たす役割はますます重要になるものと感じております。近年、ICH-S7A・S7Bガイドラインにおいて言及されていないhERG電流の直接阻害以外の機序による催不整脈作用、反復投与下での心毒性発現に関連する心機能評価、ヒトiPS由来心筋/神経細胞を用いた最先端技術の応用、分子・イメージングバイオマーカーの利用、安全性薬理エンドポイントの一般毒性試験への組み込み、あるいは新たな中枢/呼吸器毒性評価など、安全性薬理研究に多くの責務が期待されています。
 本研究会の新たな試みとして、循環領域のみならず中枢/呼吸器領域をカバーするために、行動・症状観察評価の技術レベルの向上を目的に中枢神経系の評価に関する情報・技術交流会を開催する予定となっています。本研究会主催のiSmartやJ-ICETの活動に加え、この交流会が安全性薬理研究発展の一助となれば幸いです。
 今後、低分子化合物のみならず高分子化合物/新規モダリティーへの対応など、従来とは異なる考え方や評価方法が必要となり、柔軟かつ的確な対応が必要となる状況が増えることが予想されます。産官学の協力体制の維持やSPSとの協業により、アジアにおける安全性薬理研究を「サイエンス」と「レギュレーション」の両面からリードし、本研究会が更なる発展を遂げることを目指して参ります。会員の皆様のご参画・ご協力をよろしくお願い申し上げます。


2017年4月吉日
日本安全性薬理研究会 会長
第一三共株式会社 安全性研究所
千葉 克芳