この度は優秀研究発表賞にエントリーして頂きました演者の皆様に対して大変感謝申し上げます。開催中に要旨や発表資料、そしてWeb上での議論を踏まえ、現在の安全性薬理研究の課題の解決に貢献する研究、今後の安全性薬理研究の発展する研究及び創薬研究としての新規性等を考慮し、選考委員会において議論を重ね、以下の演題を優秀研究発表賞として選考致しました。受賞された演者および共著者の方々おめでとうございます。代表者の方には表彰状と副賞を授与させて頂く予定です。優れた医薬品の開発に貢献するために、継続的に安全性薬理研究に貢献して頂くことを期待いたします。
JSPS優秀研究発表賞選考委員会一同
- 薬理作用からけいれんリスクを直接示唆しない化合物に対するin vitro微小電極アレイ(MEA)を使用したけいれんリスク評価の事例研究
○岡村 愛 1)、石橋 勇人 2)、横井 れみ 2)、木下 健一 1)、白川 誉史 1)、鈴木 郁郎 2)
1)アステラス製薬株式会社 安全性研究所 2)東北工業大学 工学部
【受賞理由】
安全性薬理研究として重要な痙攣リスク評価をラット神経細胞のみならずヒトiPS由来神経細胞を用いたin vitro評価系(細胞外電位測定法)の有効性を示すとともに、痙攣リスクのない開発候補化合物の選定に応用できることが示された重要な事例研究として、今後の発展が期待されます。in vivo中枢神経評価以外の安全性薬理研究の方向性を示した研究として高い評価を得ました。 - hiPSC-CM sheet を用いた薬剤の収縮力評価における電気刺激条件の重要性
○加藤 英里子 1)、日向 裕人 2)、加川 友己 2)、久保 寛嗣 2)、谷口 智彦 3)、吉永 貴志 3)、馬場 敦 1)、 池谷 裕二 1)、澤田 光平 1)
1)東京大学 大学院薬学系研究科 2)日本光電工業株式会社 荻野記念研究所 3)エーザイ株式会社 高度バイオシグナル安全性評価部
【受賞理由】
安全性薬理研究として重要な心機能評価(心収縮能評価)をヒトiPS由来心筋シートを用いたin vitro評価系の有効性を示すとともに、各種代表的薬物を用い、電気刺激による陽性変力作用を精度高く検出し、これまで明確に捕捉することが困難であったβ受容体作動薬(dobutamine)の強心作用を検出しました。催不整脈性と同様に、心収縮能を正しく評価することが望まれており、今後の安全性薬理研究での利用が期待できることから高い評価を得ました。